http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090731-00000087-san-soci
暴力団が被告となった殺人事件で、さいたま地検が「裁判員裁判の対象事件からの除外」を裁判所に申請する方針を固めたことが、 波紋を呼んでいる。申請されるのは、裁判員らに被告からの“お礼参り”などの危険が及びかねない場合、裁判所の決定で適用される規定。 しかし、適用が乱発されれば、「国民の視点を刑事裁判に反映する」という制度の趣旨を損ないかねない。法曹関係者からは 「運用は厳格に行うべきだ」との声も出ている。
さいたま地検が裁判員裁判からの除外を求める方針を固めたのは、埼玉県ふじみ野市で昨年4月、
指定暴力団住吉会系幹部が射殺された事件。
被告は組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)罪で起訴されている山口組系暴力団の男。地検は「近年希(まれ)な大規模抗争事件」と位置付け、
裁判員裁判になった場合、裁判員に危険が及ぶ可能性があると判断した。
裁判員法では、除外適用対象となる事件を明確にしてはいないが、暴力団のほか、
オウム真理教のようなカルト集団を主に念頭にしているとされる。
従来も、裁判官に危害が加えられる可能性が高い刑事裁判では、担当裁判官の自宅や通勤経路、裁判所などに警備がつくことがある。一方で、
暴力団抗争関連の裁判にかかわる裁判官すべてが、危険な立場に置かれてきたわけでもない。
あるベテラン刑事裁判官は「暴力団関連というだけで除外が認められれば、暴力団がかかわる事件に国民の視点が反映されなくなる」
と慎重な適用を求める。「裁判員が恐怖感を抱くのと、実際に危険があるということは全く別の問題。『危害が及ぶ恐れ』をどう線引きするのか、
どの程度具体的な危険が迫っているのか、判断は難しい」とも指摘する。検察関係者からも「厳格に運用すべきだ」との声が相次ぐ。
裁判員法に除外規定を設けたものの、最高裁や法務省が、「どんな場合が除外されるのかをほとんど議論してきていない」(法務省関係者)
という不備を指摘する声もある。
もし、さいたま地検が実際に請求を行えば、結論がどちらになろうと、初のケースとして今後への影響は大きい。先例がない中、さいたま地検、
申請を判断するさいたま地裁は難しい判断を迫られることになる。(大泉晋之助)
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